ぎふ清流座 地芝居公演への出演が決まりました


 令和7年10月12日 ぎふ清流座


源氏烏帽子折 第二段を上演します


あらすじ

 「源氏烏帽子折」は源義経の成長を描いた近松門左衛門の存疑作です。ところが第2段の主役は義経ではありません。深瀬の木偶回しでは浄瑠璃作品のそれぞれの「段」は独立した物語として扱います。ここでの義経は乳飲み子の牛若で、源義朝の血を引く源氏の末裔の一人に過ぎません。

 平清盛は源氏の再興を恐れ、300名もの家来に義朝の3人の子どもの捜索を命じます。平家の追手から逃れるため、母親・常盤御前は子どもたちを連れて逃亡の旅に出ます。常盤とは常緑樹を意味しますが、旧暦1月に鬱蒼とした木々の闇を踏み迷うとはなんという皮肉でしょう。親子の哀れな旅路は滔々と語る「みちびき」の浄瑠璃で表現します。

 常盤御前は竹藪の奥に庵を見つけ、一夜の宿をと願います。庵にいたのは白妙という女性で、源氏・藤九郎盛長の妹でした。ところが今は平家・弥平兵衛宗清のしのび妻であり、義朝のゆかりの者への詮議が厳しい今、とても宿を貸すことはできないのだと、常盤の願いは聞き入れられませんでした。これ以上先へは進めないと、親子は庵の軒陰で夜を明かすことにします。

 夜も更け、宗清が白妙の庵を訪れます。常盤親子に気付いた宗清は、捕えようと様子を伺うものの、子どもたちの健気さに心を打たれます。小鳥を追い払うのだといって親子を逃がすのでした。

 何事も「見ぬが仏、知らぬが花」とする宗清と白妙の会話を、庵を訪ねてきた白妙の兄・盛長が耳にします。盛長は涙を流して宗清に面会を求めるも、平家の侍の面目が立たないと断られます。宗清は、鷹や餌差しから雛を守れと伝えると、盛長もいつか白鷺のような源氏の白旗を立てると答えるのでした。宗清と盛長の会話には鳥になぞらえた表現がたくさん用いられています。



登場人物

場面1
平清盛・平重盛・平宗盛・他平家一門

場面2
常盤御前・今若・乙若・牛若

場面3
常盤御前・今若・乙若・牛若
白妙・弥平兵衛宗清

場面4
白妙・弥平兵衛宗清・藤九郎盛長




深瀬木偶回し保存会プロフィール

深瀬木偶回し保存会は石川県白山市深瀬地区に伝わる一人遣いの人形芝居でくまわしを保存・継承するため、昭和16年に結成されました。でくまわしは約350年前、同地を訪れた上方の興行者が借金の代償として人形を置いていき、技術を伝授したのが起源だと口伝されています。白山市東二口地区の「でくの舞」とともに、「尾口のでくまわし」として国の重要無形民俗文化財に指定されています。人形「でく」は十字に組んだ木の棒に頭を付け、衣装を着せただけの簡素なもので、力強い足踏みを踏みながら、「まわし」ます。日本各地に伝わる人形芝居の中でも最も古い形を留めていると言われています。浄瑠璃には楽器の伴奏がなく、独特の節回しで物語を語ります。源義経を主人公にした判官物「源氏烏帽子折」「熊井太郎孝行の巻」「門出屋島」、鬼や大蛇が登場する幻想物語「大職冠」「大江山」、比較的新しい作品として「仮名手本忠臣蔵」を保存しています。手取川ダムの建設のため、昭和52年から集団移転先の旧鶴来町深瀬新町(現白山市深瀬新町)を拠点に継承活動を続けています。令和4年には米国の人形劇専門誌に取り上げられました。





深瀬の「でくまわし」とは

でくまわしは石川県白山市深瀬地区に伝わる一人遣いの人形芝居です。約350年前、同地を訪れた上方の興行者が借金の代償として人形を置いていき、技術を伝授したのが起源だと口伝されています。人形「でく」は十字に組んだ木の棒に頭を付け、衣装を着せただけの簡素なもので、力強い足踏みを踏みながら、「まわし」ます。日本各地に伝わる人形芝居の中でも最も古い形を留めていると言われています。浄瑠璃には楽器の伴奏がなく、独特の節回しで物語を語ります。源義経を主人公にした判官物「源氏烏帽子折」「熊井太郎孝行の巻」「門出屋島」、鬼や大蛇が登場する幻想物語「大職冠」「大江山」、比較的新しい作品として「仮名手本忠臣蔵」が伝えられています。手取川ダムの建設にともない、昭和52年から集団移転先の旧鶴来町深瀬新町(現白山市深瀬新町)に拠点を移し、継承活動を続けています。令和4年には米国の人形劇専門誌に取り上げられました。


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